推しが出たり出なかったりする創作物の感想とかです。作品名は五十音順に並べています。

九割は好意的ですがタイトルに※がついているやつは毒混じりなので気をつけてください。


小説1(ア行~ナ行)

◆丘に鳴る風―小説・松崎慊堂と石経山房(秋山圭)

・蛮社の獄で崋山さんの助命運動をしてくれた松崎慊堂が主役の作品。

・世渡り下手な学者と彼を取り巻く人々のこもごも。鳥居耀蔵にも同情的な立場からの蛮社の獄は興味深い……とか思っていると突然立場ある男性同士の巨大感情が飛んでくるので油断なりません。

・詳しくは下に書きましたが、穏やかで誠実な崋山さんよりもむしろ鳥居耀蔵にオタク心をめちゃめちゃにされた感があります。ただのやべーやつだと思ってたのに……そんな……

◇慊堂先生の理解者(穏健派)の崋山さん。タイトル回収シーンは美しく、家庭的なシーンにはほのぼのする。出番が多いのも嬉しい

おまけの昔書いたよそゆき感想文(ネタバレあり)

◆戯作三昧(芥川龍之介)

・曲亭馬琴が主役の短編。

・芸術家というか人間のめんどくさい&ままならない心情の動きを微細に描ききってラストには希望を見せる、流石文豪の作品は文句なしに面白いです(何様?)

・何よりあの芥川がサブキャラとはいえ渡辺崋山を!!!!!やったー!!!!!

・史実での交友関係や馬琴が崋山に向けていた目線を考えると、この二人を対照させたのは非常に面白いです。

◇穏やかだが胸の内に秘めたる情熱がある崋山さん。後の悲劇の暗示も

◆三悪人(田牧大和)

・タイトルの「三悪人」とは遠山金四郎、鳥居耀蔵、水野忠邦のこと。この作品の金さんは粋な男ではあるものの、物事の裏をかくのが大好きなめちゃめちゃワルです。まずこの人物造形の斬新さが目に留まります。

・人を人とも思わない冷酷な水野、人を苛立たせることにかけては天才的で並み外れた勘の良さを持つ鳥居もそれぞれに悪く、そしてとびきり知恵が回る。そんな三人が水野vs遠山+鳥居という陣営で頭脳戦を繰り広げます。